【コラム】ジャマイカ西田ジム代表 西田慎さん

今回、体操を通して日本とジャマイカの絆を強めようと尽力されている西田慎さんのコラムを掲載します。

西田さんのジャマイカに対する熱い思いや願いがひしひしと伝わってくるコラムとなりますので、最後までぜひ読んでみてください!

コラム

 初めまして。日本ジャマイカ友好協会(以下JJFAという)会員の西田慎と申します。私は、平成16年度1次隊のJICA隊員、体操競技の指導員としてジャマイカへ派遣され、2008年1月に隊員活動を終えた後、「貧困地区に住む子供たちをオリンピックに連れていきたい」という思いから自身の体操教室「Nishida’s Gymnastics」(通称西田ジム)の運営を開始し、2019年までジャマイカに居住、現在は日本を拠点に現地の頼もしいコーチたちと共に西田ジムの運営を続けています。

 ジャマイカには実に15年住んでいたことになり、思い返してみると本当に色々なことがあり、人間として成長できた15年でした。物事が予定通りに進まない日常、理不尽がまかり通る出来事、シャワー、キッチンなしの教室に2年半住んだ事、強盗・空き巣に、車の盗難、発砲事件に暗殺予告というような危ない経験を通じ、心身共に鍛えられました。そんな中で信念をもって目標に向かって努力できた15年は、今の自分を作ってくれた糧となっています。また、体操競技の発展、競技の普及、そして体操競技を通じた青少年の育成という観点では、それなりに満足いくところまでできたと思っています。

 さて、前置きが長くなってしまいましたが、私は年に1度ジャマイカに1か月ほど帰る生活をしておりまして、今回の滞在では、コロナ以降1度ストップしていたキングストン、ダウンタウンとよばれる貧困地区での体操プログラムを再開させる事、また、西田ジムより二人目のコーチの招聘の決定、さらに、大使館の草の根プログラム申請の打ち合わせを行う事ができた事など、教室として大変生産的な時間となりました。

 こんな活動ができる国、ジャマイカですが、貧困層に属する人口の割合はほぼ5割、貧困層の人々が貧困から抜け出すことができない悪循環、コロナの影響や物価の上昇(でも給料は上がらない)という中、2020年の統計でジャマイカはついに人口10万人における殺人事件の発生率が世界1位(日本の226倍)になってしまいました。悲しい現実です。

 このようなスケールの大きい問題に対して、私が出来る事、一つの体操教室が出来る事は、正直高が知れていると思います。ただ、私は昔から、子供たちが体操のようなスポーツ、レッスンを通じて体験する事、学べる事が、その子の人生を大きく変えることができる可能性を持っていると思っています。

 そして、私の第二の故郷となったジャマイカと日本をつなぐ架け橋として、日本の友人とジャマイカを訪れ、ジャマイカのコーチを日本の招聘し、それぞれの国で私のできる事を今後も地道に続けていこうと思います。

 JJFAは、ジャマイカとのつながりが深い方、そして色々な分野でご活躍されている方が属しているように思います。私も含め、仕事でもない活動にボランティアで多くの時間を割くことは難しいと思いますが、きっとJJFAは今後も素晴らしい活動を続けていってくれると個人的にとても楽しみにしております。現地で教室を運営している身として、協力出来る事があれば積極的に協力させていただきたいと思っています。

 最後になりますが、皆さんが深い縁を持つジャマイカ、この国の将来が少しでも良くなるよう、また両国のつながりが少しでも大きくなっていくよう、志を共に頑張っていきたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!